四日市の方もご連絡ください
当法人の事務所はいずれも駅の近くにありますので,さまざまな地域からお越しいただきやすくなっております。自己破産にお悩みの方もどうぞお越しください。
自己破産での弁護士選びのポイント
1 弁護士費用
弁護士に依頼するにあたり、費用の問題を避けて通ることはできません。
現在、弁護士報酬は原則自由化され、弁護士・事務所ごとに自由に弁護士報酬を規定してよいとされています。
破産の申し立てを依頼するにあたり、事務所ごとの費用設定を検討し、支払いが可能かどうかを検討するのがポイントの一つです。
自己破産を検討するような場合、十分な資力・収入がなく、法テラスの代理援助を頼らざるを得ないことがありますが、法テラス利用での契約をすることが可能かどうかは、弁護士によって違いがあります。
そのため、あらかじめ、法テラスを使えるかどうかを確認するのもポイントです。
2 自宅との距離
自己破産については、直接面談義務が定められているほか、打ち合わせで複数回事務所に赴く必要があることも少なくありません。
破産手続きにおいては膨大な書類を準備・作成する必要があり、独力で行うのは厳しいことから、実際に弁護士や担当事務に会って、直接説明や指導を受けることが有益と考えられます。
そのため、自宅から無理なく行けるところに事務所があるかも、ポイントの一つです。
また、実際に会ってみた際の印象で頼むかを決めたということは多々あり、オンラインでのコミュニケーションが発達した現在においても、会うことの意義はなくなることはないでしょう。
3 専門性・経験
破産事件をやったことがない弁護士でも、実務書を紐解き、知り合いの弁護士に聞きつつ、事件処理を行うことはできなくはありません。
ただ、遺漏のない・迅速な事件処理を望まれる場合は、経験値があり、専門性を習得した弁護士に依頼をした方がよいでしょう。
破産事件の場合、同時廃止か管財事件かのボーダーライン上にあるケースがしばしば見受けられます。
管財事件になれば、費用負担が大きくなるほか、事件処理に要する時間・手間も増加するため、同時廃止の可能性を高めることが出来る実務能力を有する弁護士の方が、望ましいと考えられます。
当法人は、借金に関するお悩みを集中的に取り扱い、自己破産の手続きにも精通した弁護士がご依頼をお受けいたしますので、適切な事件処理を期待していただけるかと思います。
四日市で自己破産をお考えの方は、当法人までご相談ください。
自己破産を専門家に相談するタイミング
1 自己破産は恥ずかしいことではない
初めに「自己破産は恥ずかしいことではない」と申し上げたいと思います。
というのも、自己破産を恥ずかしいことだと思うあまり、相談を躊躇したり、状況がさらに悪化してから法律事務所に来られたりする方をしばしば目にするからです。
借金のご相談は、可能な限り早期にしていただいたほうが、より適切な解決につながる可能性があります。
絶対こうだというものはありませんが、ここでは、自己破産を相談する典型的なタイミングを説明いたします。
2 働けなくなったとき
借金を滞りなく返済するには、生活費を上回る収入を安定的に得ることが必要です。
言い換えれば、心身の病気によって働くことができなくなれば、収入がなくなり、限りある貯蓄を取り崩すしか手立てがなくなります。
自己破産への黄信号が灯ったと言えるでしょう。
働けなくなるまでにはいかなくても、病気によって、収入の少ない仕事への転職を余儀なくされたり、業務量を減らしたことによって収入が減少したりすれば、借金の返済が立ち行かなくなる可能性が生じます。
3 支出が激増したとき
子どもの進学や、家族が病気になったこと等によって、支出が激増すると、借金の返済に回せる余力が乏しくなります。
収入を増やすか、他の支出を大きく削ることができない限り、いずれ返済は立ち行かなくなるでしょう。
物価やインフラ料金の値上げも少なからぬ影響を与えることがあります。
生活状況に大きな変わりはないのに、返済が苦しくなってきたという感覚がある場合は、家計簿をつけて以前との違いを分析してみるとよいでしょう。
4 借金を返すために借金をするようになったとき
いわゆる自転車操業です。
本来、借金は自らの収入・資本で返す見込みがあって行うべきですが、焦るあまり目の前の借金を返すことにしか意識がゆかず、別の借金をして急場をしのぐケースがしばしば見られます。
その時だけでなく、次の返済期限に間に合わすため、また別の借金をしていくことになれば、しばらくするとどこからも借りられなくなり、膨れ上がった借金だけが残ることになります。
自己破産への赤信号が灯ったと言えます。
5 当法人にご相談ください
以上の2~4(特に4)に至った場合は、速やかに当法人までご相談いただきたいと思います。
債務額がまだ少なければ、他の手立てが可能となることもあります。
自己破産をお考えで免責不許可事由のある方へ
1 破産手続きにおける免責不許可事由
破産手続きは、最終的に免責許可の決定を得ることが目的です。
免責許可決定によって、債務者(破産者)は、破産手続きによる配当分を除き、破産債権(※ 債務者が破産したときにその債権を届け出て破産財団から配当を受けることのできる債権)について責任を免れることになります(破産法253条1項)。
簡単に言うと、借金を支払わなくてよくなるということです。
免責不許可事由とは、その名のとおり、一般に前述の免責を許可すべきでないとされる事情のことをいいます(破産法252条1項各号)。
具体的には、債務者が意図的に債権者を害する行為をしたとみなされる類型(同項1~7号)、破産法上の義務の履行を怠り、手続きの進行を妨害する行為の類型(同項8~9、11号)、前回の免責許可から7年以内の破産申立て(同項10号)が規定されています。
債務整理の相談でよく出てくる免責不許可事由としては、浪費又は賭博その他の射幸行為による著しい財産減少等(破産法252条1項4号)が挙げられます。
法律相談においてよく聞く実例としては、高価品の購入、店員による接待の伴う飲食店の利用、パチンコ等のギャンブル、オンラインゲームへの高額課金、商品先物・FX取引等です。
2 免責不許可事由と裁量免責
「不許可」という言葉があるので、免責許可の決定は絶対に得られないと思ってしまうかもしれませんが、免責不許可事由があっても、一律に免責が許可されないというわけではありません。
というのも、破産に至った経緯やその他一切の事情を考慮して免責を許可することができるという「裁量免責(破産法252条2項)」が認められているからです。
そのため、免責不許可事由のある方も、それだけであきらめるのではなく、まずは弁護士に相談していただきたいと思います。
裁量免責が得られる余地があるのであれば破産申立てを考えるべきですし、そうでなければ、返しきれない借金を一生抱え込むことになりかねません。
ところで、裁判所は、モラルハザード(倫理の喪失)を防ぐ観点から、免責不許可事由がある事件は管財事件とする傾向があります。
この場合は、破産管財人が裁量免責の許可の可能性について調査を行い、裁判所に対して、報告や意見を行います。
この内容が、裁量免責の可否に大きな影響を与えることになります。
自己破産で生活に生じる影響
1 自己破産によって失う財産
自己破産すると、所有する土地・建物は、競売や任意売却によって換価され、債権者への配当に回されるため、必然的に失うことになります。
個人再生では、住宅資金特別条項を設けて、住宅ローンを支払っている自宅建物を残す手続きが用意されていますが、破産にそのようなものはありません。
また、差押禁止動産にあたらない動産は、費用倒れになるような価値の低いものを除き、換価されて債権者への配当に回されるため、失うことになります。
典型例としてあげられるのは、自動車(年式が古すぎる国産車両は除く)です。
生活や通勤に必要だからと主張しても、このような理由で対象外となることは基本的にありません。
2 自己破産によって制限を受ける職業
一部の職業、具体的には他人の財産や秘密を扱う職業は、破産手続開始決定以降、一時的に資格が使えなくなります。
どのような職業で制限を受けるか等の詳細は、各法律によって規定されています。
一例をあげると、次のようなものです(※ あげたもの以外にも多数あります)。
- ア 弁護士
- イ 司法書士
- ウ 税理士
- エ 公認会計士
- オ 警備員
筆者は弁護士ということで、一番かかわりのある弁護士法7条4号をあげてみると、弁護士となる資格を有しない者として、「破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者」と書かれています。
ここでいう復権とは、破産法255条各号が規定しており、そのうちの1号では「免責許可の決定が確定したとき」と書かれています。
破産申立てから免責許可決定までの平均期間は、4~6か月程度とされており、言い換えれば、制限を受けるのはこの期間だけということです。
3 自己破産によって仕事を失う場合
民法653条2号は、委任の終了事由として「破産手続開始の決定を受けたこと」と規定しています。
会社と役員との関係は、通常、委任契約によっていることから、役員が破産した場合は、必然的に役員を退任することになります。
もっとも、自己破産によって制限を受ける職業でなければ、仕事を続けることに支障はありません。
雇用契約や就業規則に解雇事由として定められてあったとしても、基本的には、合理的理由を欠き、社会通念上相当でないとして無効になると考えられます。
当法人が自己破産の対応を得意とする理由
1 自己破産について
自己破産は、借金が返せなくなったときに、一定の財産を債権者に平等に分配する一方、裁判所から免責決定を受けることで、借金の返済を免除してもらうという手続きです。
ここでは、当法人が自己破産の対応を得意とする理由について解説します。
2 自己破産の経験値
全く同じ内容の事件はありませんが、多くの事件をこなすことで、事件の見通しを立てやすくなり、かつ、適切な準備を行うことが可能となります。
当法人は、弁護士ごとの破産申立件数もさることながら、法人全体で数多くの破産申立てを行っています。
そのため、豊富な経験に基づく的確な見通し・適切な準備が可能です。
自己破産においては、費用や手続きに大きな違いが生じることから、同時廃止になるか、管財事件になるかが、最大の関心事となっています。
具体的には、管財事件の場合には、管財人に支払う報酬等が別途求められるため、同時廃止に比べて20~30万円多く必要となります。
同時廃止の見立てで申立てをした結果、管財事件となってしまい、管財報酬が支払えないために申立てを取り下げることになっては意味がありません。
とはいえ、すべての事例において、管財事件になることを想定して費用の積立をするのは、債務者に過大な負担を強いることになります。
当法人では、これまでの経験を踏まえ、債務者の実情に即して、同時廃止になるか管財事件になるかについて、見通しをお伝えしています。
3 研修・研鑽
破産事件に携わる弁護士は、各々、破産に関する書籍を読み、知識の集積に励んでいます。
また、法人内において定期的に研修を開き、知識や経験の共有化に努めています。
これらによって、弁護士個人としても、弁護士法人心全体としても、自己破産に対する処理能力が向上していると解されます。
4 最後に
このように、当法人は、自己破産の対応を得意としていますので、自己破産を検討されている方は、安心してご相談いただければと思います。
自己破産にかかる期間
1 期間は同時廃止と管財事件で異なる
自己破産には、同時廃止と管財事件という2種類があります。
同時廃止は、目ぼしい財産もなく借金が増えた経緯にも問題が少ない場合の手続きです。
管財事件は、目ぼしい財産がある、または借金が増えた経緯に問題があって、破産管財人という弁護士が裁判所から選ばれる場合の手続きとなります。
自己破産の手続きにかかる期間は、同時廃止か管財事件になるかによって異なります。
まず、同時廃止と管財事件の簡単な流れを見てみましょう。
2 同時廃止の簡単な流れ
- ① 弁護士に自己破産を依頼して、督促が止まる
- ② 破産する方が、資料集め、費用の準備をする
- ③ 弁護士が裁判所に自己破産の申請をする
- ④ 裁判所が破産手続を開始する
- ⑤ 免責決定(借金が免除される)
3 管財事件の簡単な流れ
- ① 弁護士に自己破産を依頼して、督促が止まる
- ② 破産する方が、資料集め、費用の準備をする
- ③ 弁護士が裁判所に自己破産の申請をする
- ④ 裁判所が破産手続を開始する。破産管財人が選任される。
- ⑤ 破産管財人と面談する
- ⑥ 債権者集会
- ⑦ 免責決定(借金が免除される)
4 費用の資料の準備の期間は、破産する方ごとに大きく異なる
①~④は、同時廃止でも管財事件でも共通していることが分かります。
ただ、①から④のうち、ほとんどの時間は、②の費用の準備・資料集めにあたります。
同時廃止では裁判所に払うお金が約1万5000円ですが、管財事件では、22~42万円程度ありますので、費用の準備にかかる期間が変わることが多いです。
短い方は一括で準備しますが、1年近くかかる分割で支払う方もいらっしゃいます。
5 同時廃止にかかる期間は、申立てから免責まで5~6か月
同時廃止で③から④までは、1~2か月程度、④から⑤までは3~4か月程度ですので、おおむね5~6か月になります。
6 管財事件にかかる期間は、開始決定から免責までで4か月~1年程度
管財事件で③から④までは1か月程度ですが、④から⑦までは、3か月から1年程度と事案により差が大きいです。
これは、⑥の債権者集会という裁判所への報告のための出席の機会がおおむね3か月に1回で、目ぼしい財産をお金にかえるのに時間がかかるケースもあるからです。
例えば、借金が増えた経緯が悪いが財産はない方は、④から⑦で3か月程度ですが、不動産が複数ある方は、全部売却するのに時間がかかり、1年程度かかることも多いです。
自己破産の相談に必要となる情報
1 自己破産のご相談をお考えの方へ
自己破産について弁護士に相談しようと考えているものの、弁護士への相談が初めてで、どのようなことを聞かれるのか不安だという方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、弁護士に自己破産の相談をする際に必要となる情報についてご説明します。
2 借金に関する情報
⑴ 債権者名
自己破産では、すべての借金を対象にして、その支払い義務を免除してもらうことになります。
そして、どこからいくら借金をしているかは、債権者一覧表という表にまとめて記載し、裁判所へ提出することになります。
もし、債権者に漏れがあった場合には、その借金は原則として破産の効力が及ばなくなりますので、どこから借金をしているか可能な限り把握しておくことが大切です。
また、そもそも、借金の総額がいくらなのかのおおよその金額は、破産の方針を検討する際に非常に重要です。
⑵ 借金が増えた原因
自己破産の手続きにおいて、どのような経緯で借金が増えてしまったのかを説明する必要があります。
なぜ自己破産を考えなければならないほど借金が増えてしまったのかを見つめ直し、その原因を把握しておきましょう。
3 財産に関する情報
自己破産の手続きでは、一定の金額を超える財産については、処分されてしまう可能性があります。
そこで、現金・預貯金、保険の解約返戻金、退職金、自動車、不動産、株券など、自分がどのような財産を持っていて、その価値がいくらかを把握する必要があります。
4 生活に関する情報
自己破産の手続きでは、家計の収入・支出の状況を報告することになりますので、一月当たりどれくらいの収入があるか、何にいくらくらい使っているのかを把握する必要があります。
家計の状況を見て、借金の支払義務を免除したとしたら経済的な再生(生活の立て直し)ができるかどうかという点も、裁判所が自己破産を認めるか否かの判断材料となっています。
もし収入・支出のバランス的に赤字の状態が続いていると、自己破産が認められない場合がありますので、収支の見直しが必要となります。
5 お気軽にお問い合わせください
自己破産の相談をする際、弁護士からは上記のような情報を聴かれることが多いといえます。
もっとも、これらの事情をすべて完璧に把握していなければ相談に乗ることができないというわけではありませんので、自己破産に関する相談をご希望の方は、当法人までお気軽にお問い合わせください。
自己破産の流れ
1 自己破産をお考えの方へ
自己破産をお考えの方でどのような流れで進んでいくか知りたいという方へ、弁護士に依頼した場合の自己破産の流れについてご説明します。
2 弁護士との相談から自己破産申立てまで
⑴ 弁護士との相談・契約
ご相談の際は、まずは借金の状況や収入・支出の状況、財産の有無など債務整理をするにあたって必要な情報を把握します。
それを踏まえ、債務整理の方針ごとに異なるメリット及びデメリットや今後の流れ、費用体系等をご説明の上、適切な債務整理の方法を検討していきます。
そして、方針が決まったら、弁護士と委任契約を結ぶことになります。
⑵ 受任通知の送付、支払停止
弁護士と正式に契約をすると、弁護士から債権者宛に「受任通知」という書面が発送されます。
この書面が債権者に届くと、債権者からの請求が止まります。
⑶ 費用の支払
債権者への支払を停止した後に、弁護士費用や手続きにかかる実費、破産管財事件となる場合には管財人費用を支払っていただきます。
なお、当法人では費用の分割払いも承っておりますので、弁護士とのご相談の際にお尋ねください。
⑷ 資料収集、家計の状況の作成
自己破産の申立てをする際、裁判所には様々な資料や家計の状況(家計簿のようなもの)の提出を求められますので、申立てへ向けて資収集や家計の状況の作成等の準備を進めていきます。
⑸ 自己破産の申立て
費用の支払、資料収集、家計の状況の作成等の準備が完了したら、裁判所へ自己破産の申立てを行います。
3 破産申立後の手続き
⑴ 開始決定
自己破産の申立てを行うと、裁判所が提出された資料や家計の状況等の書類の内容を確認します。
その上で、裁判所が確認すべきと判断した内容について説明を求められたり、追加資料の提出を求められることがあります。
そして、裁判所が手続きを開始すべきと判断すれば、「開始決定」が出されます。
⑵ 同時廃止事件と管財事件
自己破産の手続きには、簡易な「同時廃止事件」と、破産管財人という弁護士が選任される「管財事件」とに分かれます。
- ア 同時廃止事件
- 津地方裁判所四日市支部における同時廃止事件の場合、開始決定後しばらくすると「免責許可決定」という借金の支払義務を免除する決定がなされます。
- 「免責審尋」という裁判官との面談がある裁判所もありますが、津地方裁判所四日市支部では免責審尋はほぼ行われません。
- イ 管財事件
- 破産管財人は、破産をする方の財産を換価して債権者への配当を行ったり、免責を認めるか否かについての調査をすることを職務としています。
- そして、破産をする方は破産管財人の調査に協力する義務を負っており、その義務の一環として破産管財人のもとへ面談に出向く必要があります。
- その後、裁判所にて行われる「債権者集会」に出席する必要があります。
- 債権者集会では、破産管財人から、破産に至った経緯や債権者へ配当に回すことができる財産の有無・金額や、免責に関する意見が述べられ、免責が相当であると裁判所が判断すれば「免責許可決定」が出されます。
破産しても免責にならない債務
1 自己破産は借金の支払義務を免除してもらう手続き
自己破産は、裁判所を通じて借金の支払義務を免除してもらう手続きです。
しかし、自己破産をしたからといってすべての支払い義務が免除されるわけではなく、法律上、免除されない債務というものがあります。
どのような債務は免除されないのかということについて、以下にてご説明します。
2 租税等の請求権
税金や国民年金、国民健康保険料については、自己破産をしても支払い義務が免除されません。
したがって、これらについて滞納がある方は、役所等と支払方法について協議する必要があります。
3 不法行為の損害賠償債務
悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償債務や、故意または重大な過失により人の生命・身体に損害を加えた不法行為の損害賠償義務は、被害者救済の必要性が高いことから、自己破産をしても支払い義務が免除されません。
4 知りながら債権者一覧表に記載しなかった債権者
自己破産の場合、すべての債権者を債権者一覧表に記載しなければならず、すべての債権者を平等に取り扱う必要があります。
そのときに、一部の債権者の存在を知っているのにあえて債権者一覧表に記載しなかった場合、その債権者に対する債務は免責の対象とはならないと破産法上規定されています。
5 親族関係に関する債務
婚姻費用分担請求権や養育費請求権などは、債権者の生活の基盤となり得るものであるから、自己破産をしても支払い義務が免除されない債務とされています。
なお、親族等から借入れがある方もいらっしゃるかと思いますが、こうした場合の債務についてはこれに当たらず、支払い義務が免除される借金に含まれます。
仮に親族等にだけ支払いを続けたいという希望があったとしても、他の債権者との平等性を害してしまうため、親族等にだけ支払いをすることはできません。
6 罰金
罰金は社会的な制裁としての側面があり、支払い義務を免除することは妥当ではないため、自己破産をしても支払い義務は免除されません。
7 自己破産をお考えの方はご相談ください
このように、自己破産をしたからといって、あらゆる債務の支払い義務が免除されるわけではありません。
それでも、通常の金融機関からの借金については支払い義務が免除されますので、生活の立て直しに大きく役立つ手続きであることは間違いありません。
自己破産をして生活を立て直したい、借金問題の悩みをなくしたいとお考えの方は、当法人までご相談ください。
自己破産と銀行口座の凍結
1 自己破産をすると銀行口座が凍結されるのか
自己破産をすると、銀行口座が凍結されるという話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
ここでは、銀行口座が凍結になることについて心配されている方へ、自己破産をした場合の銀行口座の凍結についてご説明します。
2 凍結になる銀行の範囲
自己破産をした場合に凍結になる可能性のある銀行口座は、借入れのある銀行や、銀行系列の業者から借入れがある場合にその系列する銀行に限られます。
上記に当てはまらない銀行でクレジットカードの引き落とし口座に指定している口座が凍結になったり、ご家族の口座までが凍結になったりすることはありませんので、ご安心ください。
3 口座が凍結になるとどうなるか
銀行口座が凍結になると、一定期間、口座からの入出金ができなくなります。
したがって、例えば給与の振込先口座に指定している口座が凍結になってしまった場合、給与の入金ができなくなったり、あるいは振り込まれた給料を引き出せなくなったりします。
また、公共料金や携帯電話代などの引き落とし口座に指定している場合には、それらの引き落としができなくなります。
そこで、給与の振込先や公共料金等の引き落とし先に指定している口座が凍結になることが予想される場合には、それらの引き落とし先を変更する手続きを取られることをおすすめします。
4 銀行口座が凍結になる期間
銀行口座が凍結になる期間は、およそ2~3か月ほどであることが多いです。
これは、代位弁済との関係によるものです。
銀行から借入れがある場合、代位弁済といって、保証会社が借金を債務者に代わって返済することになります。
その結果銀行自体は債権を持たなくなりますから、口座を凍結しておく必要もなくなり、口座の凍結が解除されることが多いです。
ただし、銀行によっては保証会社による代位弁済がなされた後も凍結が解除されないこともありますので、凍結の期間について詳しく知りたい方は弁護士にご相談ください。
自己破産と保証債務
1 保証債務について
借入れやローンを組む際に、(連帯)保証人を立てることを条件としなければ金融機関からの借入れをすることができない場合があります。
保証人は、主たる債務者(主債務者)が借金・ローンの支払いができなくなった時に、代わりにその支払いを行う義務を負う者をいいます。
そして、この保証人が負う債務のことを保証債務といいます。
こうした債務がある方が自己破産をした場合、保証人の方にも影響が出ます。
2 保証人になってもらっている借金がある方の自己破産
主債務者が自己破産をする場合、裁判所によって自己破産が認められれば、主債務者自身の借金の支払義務は免除されます。
しかし、自己破産によって免除されるのは主債務者個人の債務のみであり、保証人自身が負っている保証債務についてはこの自己破産では免除されません。
したがって、主債務者が自己破産をすると、債権者から保証人に対して請求が行くことになります。
3 保証債務を負った方の自己破産
他人の借金の保証人になった場合でも、主債務者が借金の支払いを滞りなく行っているうちは、基本的には債権者から保証人に連絡が来ることはありません。
しかし、主債務者が借金の支払いをできなくなったり、上述のように主債務者が自己破産等をした場合、債権者から保証人に対し借金の支払いを請求されます。
借金の残額が少なく、支払いができる程度であれば問題ないかもしれませんが、保証人を立てることが条件にとなっている借金は金額が大きいことが多く、そのため保証債務の支払いができなくなることもありえます。
そのような場合、保証人も自己破産を検討した方がよいケースもあります。
例えば、夫婦の旦那様が主債務者、奥様が保証人となっている場合、旦那様だけ自己破産をしても奥様の保証債務は残ってしまいますから、夫婦としての生活の立て直しを図るのであれば、夫婦ともに自己破産をしなければならないと考えられます。
4 保証人になる、なってもらうのは慎重に
保証人が必要な借入れをする際、支払いができるのであれば問題ありませんが、万が一支払いができなくなってしまった場合に保証人に大きな影響が及びます。
他人の借金の保証人になること、自分の借金の保証人になってもらうことは、慎重に検討した方がよいといえます。
この点は、改正された民法により一定程度の対応がなされています。
5 保証債務の自己破産のご相談は当法人まで
他人の借金の保証人になっており債権者から請求が来て悩んでいる、保証人を立てた借金があるが自己破産を検討しているといった方は、当法人までご相談ください。
ご事情をお伺いし、今後の方針についてご提案いたします。
詐欺被害に遭われた方の破産
1 詐欺被害に遭われた方からの破産の相談
破産の相談をお受けしていると、様々な事情で借金を負うことになってしまった方と出会います。
ギャンブルや投資で失敗した方、病気などで働けなくなって生活費として借り入れをした方、お子さんの学費や教育費として借り入れをした方、借金の保証人になってしまった方…。
近年では、詐欺の手口も巧妙になってきているためか、借り入れをしたお金を詐欺の加害者に渡してしまったという方もいらっしゃいます。
2 詐欺被害に遭った場合でも借金の支払義務を負う
詐欺被害に遭って借金をしたとしても、借り入れをしたのがご本人である以上、その借金の支払い義務自体は原則として負ってしまうことになります。
借入先の金融機関に詐欺被害に遭ったと説明をしても、基本的には借金の支払義務を免除してもらえないと思われます。
また、詐欺の加害者に対して損害賠償等の請求を行おうとしても、そもそも加害者を特定できなかったり、被害に遭ったお金が使い果たされており返還を受けられないケースがほとんどですので、多額の借金だけが残ってしまう結果となることが多いといえます。
3 自己破産をすることはできる
自分の支払能力を超える借金を抱えてしまった場合、ケースによっては破産管財事件となる可能性はあるものの、一般的には自己破産をすること自体は可能です。
借金の支払義務を負っていたとしても、免責を受けることでその支払い義務がなくなります。
破産をしようとしている方が詐欺被害に遭ったことを裁判所に対して丁寧に説明するとともに、しっかりと反省をしていることを示すために反省文を作成したり、家計簿のようなものを提出して、二度と借金をしないように生活を改めることができていることを示すなど、真摯に手続きに協力をすれば、借金の支払義務を免除してくれる可能性は十分にあります。
4 詐欺被害に遭って借金を抱えてしまった方は弁護士にご相談ください
詐欺被害に遭ってしまい多額の借金を抱えてしまったとお困りの方は、一度弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
当法人には自己破産等の債務に関する問題を得意とする弁護士がおりますので、安心してご相談ください。
自己破産をする場合は裁判所に行かなければならないのか
1 同時廃止事件の場合
同時廃止事件の場合、「免責審尋」という手続きがあり、そこで裁判所に行く必要が出てくることがあります。
これは、破産をする方が破産を申立てた裁判所に出向いて、裁判官と面談の上、質問を受ける場のことをいいます。
通常、免責審尋は平日の日中に行われますので、平日に仕事を行っている方の場合、その日は仕事を休んだり、半休を取るなどして出席しなければなりません。
もっとも、すべての裁判所で免責審尋を行っているわけではなく、免責審尋を行っているところと、行っていないところがあります。
四日市市にお住まいの方は、地方裁判所の四日市支部に自己破産を申立てることになりますが、四日市支部では免責審尋の手続きが省略される場合が多いです。
もっとも、裁判所の運用が変わることもあり得ますので、気になる方は、相談の際に弁護士に確認されることをおすすめします。
2 破産管財事件の場合
破産管財事件の場合、「債権者集会」という期日が開かれ、そこで裁判所に行く必要があります。
これは、裁判所に、裁判官、破産管財人、申立代理人弁護士、破産をする方、債権者が集まる場をいいます。
もっとも、債権者が金融機関の場合には、ほとんどの場合債権者が来ることはありません。
債権者集会では、主に破産をする方の財産から債権者に配当することができる財産の有無、配当の内容等について、破産管財人から報告があります。
裁判所から、破産をする方に対して質問が行われることもあります。
債権者集会は、債権者への配当に回すことができる財産がない場合には1回で終わることもありますが、例えば不動産を持っている方など、換価(売却してお金に変えること)をするまでにある程度の期間を要するものがある場合には、複数回にわたって期日が設けられることがありますので、何度か裁判所に足を運ばなければなりません。
3 事前に日程調整があります
免責審尋や債権者集会が開かれることになった場合、裁判所から数か月前に日程調整の連絡が来ます。
勝手に期日が指定されて急に仕事を休まなければならないということは基本的にはありませんので、その点はご安心ください。
不動産がある状態で破産をお考えの方へ
1 不動産を所有している方の自己破産
不動産を所有しているが自己破産を検討しているという方もいらっしゃるかと思います。
ここでは、そのような場合に自己破産をするとどうなるかについて、簡単にご説明します。
2 不動産を手放すことになる
自己破産をする場合、破産をする方が所有する20万円以上の財産は換価され債権者へ配当されます。
換価というのは処分してお金に換えることですので、不動産がある状態で自己破産をすると、その不動産を処分しなければならなくなります。
3 破産管財事件になる
不動産の換価、債権者への配当は、裁判所から選任される破産管財人という弁護士が行うことになります。
破産管財人が選任される場合、裁判所へ納める予納金がかかります。
また、破産管財人は、免責を許可するかどうかについて調査し裁判所に意見を述べることも職務としており、何度か破産管財人と面談をする必要が生じる場合があります。
その場合、何度か破産管財人の事務所まで面談に行く必要があります。
さらに、破産管財事件となった場合には、債権者集会という裁判所で行われる期日に出席しなければなりませんので、平日に裁判所へ行くことになります。
4 オーバーローンの不動産の場合
お持ちの不動産にローンが残っている場合、自己破産をする前に不動産を慎重に任意売却することで、上記のような破産管財事件にならずにすむことがあります。
不動産ローンを組む際、通常は住宅に対し抵当権という担保権が設定されていますので、不動産を売却するとその代金はローン会社又はその保証会社が優先的に取得することになります。
そして、ローンの残額と不動産の価値を比べた時に、ローン残額の方が大きい、オーバーローンといわれる状態の場合、自己破産の申立前に任意売却をすることができれば、不動産以外にめぼしい財産がない場合には、同時廃止事件という破産管財人が選任されない簡易な事件になる可能性もあります。
5 当法人までご相談ください
破産管財事件となる場合、必要となる費用の金額も大きくなりますが、当法人では費用の分割払いも可能です。
また、任意売却に関するご相談もお受けいたしますので、不動産のある自己破産についてのご相談は当法人までお気軽にお問い合わせください。
自己破産をした場合の保険への影響がご心配な方へ
1 自己破産をすると保険はすべて解約しなければならないのか
自己破産を検討されている方の中には、自己破産をすると現在加入している保険をすべて解約しなければならないのかということを心配される方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、自己破産をしてもすべての保険を解約しなければならないわけではなく、一定の条件を満たせば保険を残すことができます。
2 貯蓄型の保険の場合
⑴ 解約返戻金額が20万円を超えるかどうかで結論が変わる
貯蓄型の保険の場合、途中で解約した場合でも、解約返戻金として一定の金額が戻ってくる場合があります。
そして、自己破産の場合、20万円を超える価値のあるものについては、お金に換えて債権者に分配しなければならない運用となっています。
したがって、解約返戻金額が20万円を超える場合には解約が必要になる可能性が高いですが、解約返戻金額が20万円以下であれば、保険を残すことができる可能性があるといえます。
⑵ 契約者貸付を受けている場合
契約者貸付という解約返戻金の一部について前払いを受ける制度を使っていた場合には、解約返戻金の総額から契約者貸付を受けた部分を差し引いた残額が財産的価値として評価されます。
例えば解約返戻金額が50万円、契約者貸付で35万円の貸し付けを受けていたとすると、財産的価値としては15万円と評価されますので、保険を解約せずに済む可能性があります。
⑶ どうしても保険を残したい場合には?
解約返戻金額が20万円を超える場合であっても、持病等の関係で現在加入している保険を解約すると再度加入することが難しいような場合や、子供の学資保険など子供のためにどうしても残したいといった場合は十分考えられます。
このような場合、一定の金額を債権者への分配に回すことで保険を残すことができる場合がありますし、「自由財産拡張の申立て」という、破産をしても残すことができる財産の範囲を広げてもらうよう裁判所に申立てをすることで、裁判所に認められれば保険を残すことができます。
3 掛け捨て型の保険
掛け捨て型の保険では、解約をしても解約返戻金はなく、財産的価値はゼロと評価されますので、解約する必要はありません。
ただし、保険料が高額すぎると評価される場合等には対応が必要な場合がありえます。
4 ご相談は弁護士まで
このように、自己破産における保険の取り扱いにつきましては、保険の内容や、保険料、解約返戻金の金額等によって変わってきます。
自己破産をされる際は、弁護士にご加入中の保険の詳細をお伝えいただき、適切な対応についてのアドバイスを受けられることをおすすめいたします。
自己破産ができるかご不安な方はご相談ください
1 自己破産ができるかご不安な方へ
自己破産についてご相談に来られる方の中には、そもそも自己破産ができるのか不安に思われている方もいらっしゃいます。
ここでは、そのような不安をお持ちになる原因の代表的な例を挙げながら、自己破産ができるのかについて説明します。
2 借金の原因が浪費やギャンブル、株・FXなどである場合等
借金の支払い義務を免除してもらうためには、自己破産を行って免責許可決定を受けなければなりません。
しかし、法律上、裁判所が免責を許可しないことができる事情として「免責不許可事由」(破産法第252条第1項)が定められています。
免責不許可事由の典型例として、借金の使い道が浪費、ギャンブルであることが挙げられますので、これらの事情に該当するために自己破産ができるか不安に思われている方が多いです。
しかし、免責不許可事由に該当する場合であっても、しっかりと借金が増えてしまった原因を見つめ直し、真摯に手続きに取り組めば、裁判所の裁量で免責許可決定が得られる可能性は十分あります(これを「裁量免責」といいます。)。
3 借金の金額が比較的少ない場合や、家族に財産等がある場合
自己破産ができる要件として、支払不能の状態であることが必要とされています。
「支払不能」とは、借金のある方の収入や財産などの客観的な状況からして、借金の返済を続けていくことが不可能である場合を意味します。
そうすると、借金の金額が少なく、財産をお金に換えたり、収入の中から返済を継続することができる場合には、支払不能とはいえず自己破産が認められない可能性があります。
もっとも、支払不能かどうかの判断は個人の財産や収入等を基準に判断されますので、例えば家族に財産や安定した収入があったとしても、破産する方に財産や返済できるだけの収入がない場合には、支払不能と認められ、借金の金額が比較的少なくても自己破産が認められる可能性があります。
4 以前に破産をしたことがある場合
以前に自己破産をしたことがある方の場合、2度目の自己破産ができるか不安に思われることが多いです。
確かに、前回の自己破産における免責許可決定確定の日からから7年以内に、再度自己破産の申し立てをすることは、上述した免責不許可事由に該当し、自己破産が認められない可能性が高いです。
7年を超える期間が経過してれば、免責不許可事由には当たりません。
もっとも、一度自己破産をして借金の支払い義務を免れながら、再度借金を繰り返してしまった点は重く受け止められますので、破産管財事件となる可能性が高まります。
5 ご不安な点は弁護士にご相談ください
ここに挙げたものに限らず、自己破産ができるか不安に思われている方は、当法人にご相談ください。
債務の問題を得意とする弁護士が丁寧にお悩みをお伺いします。
自己破産によって自動車を手放すことにならないかご不安な方へ
1 自動車ローンの残っている車の場合
自己破産では、裁判所を通じて借金をゼロにしてもらう手続きです。
ここでいう借金には、銀行や消費者金融、カード会社からの借入れ等のみならず、自動車ローンも含まれます。
そして、自動車ローンが残っている状態で自己破産をすると、原則的には自動車を手放さなければなりません。
それは、通常自動車ローンの契約をするとき、ローンを完済するまでは自動車の所有権はローン会社や車のディーラーのもとに残る契約内容になっていること(※ 所有権留保付割賦販売といいます)が多く、自己破産をするとローンの残額を支払うことができなくなりますから、売主は、所有権に基づいて自動車が回収しにきます。
自動車ローンが残っているが、その自動車を手元に残したい場合には、第三者から援助を受けて自動車ローンを一括返済することで、自動車が回収されることを防ぐ方法を検討することがあります。
ただし、そのような場合でも、次に記載する20万円以上の価値があるかどうかには注意が必要です。
2 20万円以上の価値のある自動車
自己破産の場合、20万円以上の価値のある財産はお金に換えて債権者に平等に配当する運用をとっている裁判所が多く、津地方裁判所も同様の運用になっています。
したがって、自動車ローンの残っていない自動車であっても、20万円以上の価値のある自動車は、破産財団に組み込まれ、最終的には破産管財人によって売却されてしまう可能性があります。
もっとも、お住まいの地域によっては、公共交通機関の駅やバス停も近くになく、自動車がないと生活がかなり不便になってしまうこともあるかと思います。
そのような場合には、裁判所に具体的事情を説明することで、20万円以上の価値のある自動車でも手元に残す判断を得られる場合もあります。
ただし、前記判断は、自動車を失うことによる債務者の不利益と、配当を受けられなくなる債権者の不利益との比較考量になる、即ち債務者の不利益が債権者の不利益を上回る程度でなければならないことから、簡単には認められないと考えられます。
3 その他
自動車を手元に残したいがため、自動車がどこにいったかわからないと虚偽の説明をしたり、見つからないように隠したりするのは厳禁です。
破産法265条1項各号は、そのような行為を詐欺破産罪として、刑事罰(10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、または併科)の対象としています。
どうしても、手放したくないのであれば、自己破産ではなく、個人再生等別の手立てを検討するべき場合もあるものとおもわれます。
自己破産を弁護士に依頼した場合にかかる費用
1 自己破産にかかる費用
自己破産をする際にかかる費用は、大きく分けて2つあります。
1つは、弁護士に払う弁護士費用(着手金、実費、日当、交通費等)です。
もう1つは、裁判所に払う費用(申立手数料、予納郵券、予納金等)です。
2 弁護士費用
⑴ 着手金
弁護士に自己破産を依頼する際に必要となる費用です。
当法人では22万円(税込)~と設定しておりますが、債権者の数、借金の金額、財産の多さ、管財事件となるか否か等様々な要素を総合的に見て個別的にご提案させていただいています。
⑵ 実費
弁護士が業務をする際の郵便切手代やFAXなどの通信費、コピー代等がこれにあたります。
どの程度かかるかは、事件の内容によって異なりますが、通常は1~2万円程度です。
ただ、①管財事件、②債権者数が多い事件、③債権額が大きい事件、④一部の債権者から貸金返還請求(※ 保証会社等が立て替えている場合は、立替金返還請求)訴訟を提起されている事件等は、通常より高くなる傾向があります。
⑶ 日当と交通費
- ア 免責審尋
- 自己破産手続では、裁判所によっては免責審尋という手続きで裁判所に出廷が必要となることがあります。
- これに担当弁護士が出廷する場合は、出廷日当(弁護士が裁判所に出向く際の日当)と交通費が発生します。
- もっとも、比較的債権額が少ないもの、違法行為が行われていない+その疑いもないものについては、免責審尋の手続きが行われないこともあります。
- この場合は、当然、前記費用は発生しません。
- イ 管財人面談
- 管財事件では破産管財人が選任され、破産管財人弁護士の事務所にて面談調査が行われることが多々あります。
- 債務者本人だけでも問題ないとする管財人がいる一方、申立代理人弁護士の同席を求められることも少なくありません。
- そうなると、その出張の際の日当・交通費がかかることになります。
- ウ 債権者集会
- 破産管財事件の場合、債権者集会という手続きがありますので、その際には出廷日当と交通費が発生します。
3 裁判所に払う費用
⑴ 申立手数料
自己破産は、お住まいの地域を管轄する地方裁判所に申立てを行うことになります。
申立手数料の相場は、個人の場合1500円前後となっています。
⑵ 予納郵券
予納郵券とは、申立を行う際に裁判所に納める切手のことです。
切手の組み合わせは、裁判所から指定されます(※ 地域によって異なることあり)。
弁護士が申立てを行う場合、債権者数によりますが、1000円~5000円程度かかります。
なお、使わなかったものは手続き終了後に裁判所から返却されます。
⑶ 予納金
自己破産の申立てをすると、官報という政府の発行する新聞のようなものに名前と住所が掲載されます。
その官報に掲載するために費用を予納金として約1万2000円納める必要があります。
ただし、破産管財人が選任される事件では、予納金として約24万円~30万円以上かかります(個人の場合)。
4 費用の支払い方法
当法人では、弁護士費用及び裁判所に支払う費用の分割払いにも対応しておりますので、具体的な費用の支払い方法については、ご相談の際に弁護士にお尋ねください。
自己破産をお考えの方へ
1 自己破産とは
自己破産とは、裁判所を通じた手続きによって借金の支払い義務を免除してもらうこと(「免責」といいます。)をめざす手続きです。
2 自己破産のメリット
自己破産以外の債務整理手続きでは、利子や債務が減額されたとしても、ある程度の借金は残ってしまうため、手続き後も返済を続けなくてはなりません。
他方で、自己破産をすれば、税金や養育費など免責の対象とならない債務を除いて、全ての借金の返済義務がなくなりますから、今後の返済に困ることもなくなり生活の立て直しをすることができます。
3 自己破産のデメリット
⑴ 信用情報に傷がつく
自己破産をする旨、債権者に通知をすると、信用情報センター(いわゆるブラックリスト。主に全国銀行協会、CIC、JICCの3つがあります。)に情報が掲載されます。
掲載される期間としては、最短で自己破産の申立てをしてから5年、最長で自己破産の開始決定の時から10年間となっており、その期間は融資やクレジットカードの申込の際の審査に通らない可能性が高くなります。
⑵ 財産を処分される
自己破産をすると、裁判所によって運用は異なりますが、おおむね20万円以上の価値のある財産は処分する必要があり、債権者へ分配されてしまいます。
ただし、財産のすべてを処分されるわけではなく、一定額までの現金や生活に必要な家財等は手元に残すことが可能です。
⑶ 親族等への返済もできなくなる
自己破産では、すべての債権者を平等に取り扱わなければならないというルール(債権者平等の原則)がありますから、銀行や消費者金融には返済を行わず、他方で親族や勤務先の会社、友人等にのみ返済を行うという不平等な取り扱いは許されません。
⑷ 一定の職種、資格が持てない
一時的にではありますが、自己破産の手続き中は、警備員や生命保険の募集人など、一定の職種や資格を必要とする仕事ができなくなってしまいます。
免責が許可されればこの制限は無くなります。
⑸ 破産できる人は限られている
自己破産は、全く借金を払わなくてもよくなるという劇的な効果をもたらしますが、債権者側から見ると大きな不利益を強いられることから、他の債務整理と比べて厳しい要件や審査が課せられており、これをクリアしなければ自己破産することはできません。
自己破産には「支払不能」(破産法2条11項)という要件があり、支払能力を欠くためにその債務のうち弁済期にあるものについて一般的かつ継続的に弁済することができない状態とされています。
一例をあげると、若くて仕事のある人等は、継続的な一定の収入を得られるため、借金があまり大きくない場合は、たとえ支払いに行き詰っていても「支払不能」ではないと判断されることがあります。
この場合はそのほかの債務整理手続きを検討することになります。
4 自己破産の相談は弁護士法人心まで
このように、自己破産には様々なデメリットもありますが、返済義務が免除されるという大きなメリットもあります。
自己破産について詳しく知りたいという方は、お気軽に当法人までご相談ください。
自己破産のメリット・デメリット
1 自己破産の特徴
自己破産は、他の借金問題の解決方法(任意整理、個人再生)とは異なり、多くのケースで、手続き後の借金返済の必要がないことが大きなメリットです。
一方で、自己破産では、一部の財産を除き、原則として、財産価値の高い財産は手放すことになります。
2 自己破産のメリット
自己破産以外の方法では、手続き後も新しい条件のもとで返済を続けていかなければなりません。
以前は、過払金返還請求によって相当程度債務を削減できましたが、グレーゾーン金利の撤廃から久しい時間が経過した今日では、そのような手法がとれることはまずありません。
しかし、自己破産では、裁判所から免責許可決定を得ることができれば、それまでの借金を返済する必要がなくなります。
そのため、収入が無かったり、返済を続けていくのに十分な収入がなかったりする場合であっても、自己破産であれば行うことができます。
また、自己破産後に得られた収入については、返済に回す必要がないため、生活の立て直しをしやすいといえます。
なお、自己破産で借金を返済する必要がなくなるのは、債務の支払い義務の責任を免れる「免責」を受けられた場合であり、借金の原因によっては免責を受けられない可能性があることや(→デメリットにて詳述)、滞納している所得税など一部の債務については免責されないことに注意が必要です。
3 自己破産のデメリット
⑴ 財産を失う(※ すべてではない)
自己破産のデメリットとしては、有力な財産を手放すことになる点があげられます。
マイホームや車など失いたくない財産がある場合には、自己破産以外の方法を検討する場合もあります。
なお、自己破産をしたとしても、完全にすべての財産を失うわけではなく、一部の財産については、残すことができます。
⑵ 官報に掲載される
自己破産をすると、そのことが官報に掲載されます。
官報を見る人は多くはないかもしれませんが、自己破産をする際には、知っておく必要があります。
⑶ 一部の職業に就けなくなる
破産手続きが開始されると、一部の職業につき、資格制限の効果が生じます。
具体的には、弁護士や税理士等の各士業、後見人(監督人も)、保佐人(監督人も)、特定保険募集人、警備員などです。
資格制限の効果は、復権(破産法255条)まで続きます。
なお、会社の取締役については、破産によって会社との委任契約が終了するので(会社法330条、民法653条)、新たに株主総会にて選任してもらう必要が生じます。
⑷ 自己破産が認められないことがある
免責不許可事由といって、免責を基本的に認めない場合がいくつか規定されています(破産法252条1項各号)。
典型例としては、無駄遣いやギャンブルによって借金が膨れ上がったり、配当の対象となる財産を隠匿・損壊したり、一部の債権者に対して非義務偏波行為をしたり、7年以内に自己破産したことがあったりするような場合です。
裁量免責といって、免責不許可事由があっても免責できるという規定がありますが(破産法252条2項)、必ずそうなるかはわかりません。
また、管財事件において、管財人からの調査や裁判所からの審尋に真摯に対応しなかったこと等から、免責不相当とされてしまうこともあります。
4 メリット・デメリットを踏まえて自己破産を検討
自己破産について大きなメリットとデメリットと考えられる点についてご説明しましたが、実際に自己破産をすべきかどうか、自己破産をしたとして免責が認められる可能性があるかどうかについては、財産や収入、借金の状況等によって異なりますので、自己破産に詳しい弁護士に相談することをおすすめいたします。
四日市で自己破産をお考えの方は、弁護士法人心 四日市法律事務所にご相談ください。