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「実刑・執行猶予・罰金・前科等」に関するお役立ち情報
前科がついたときの公務員の資格制限
1 前科とは
そもそも前科とは、何らかの犯罪行為により有罪判決を受けて刑罰が確定した状態のことを言います。
ですので、例えば、犯罪行為を行い、逮捕・勾留されたとしても、その段階ではまだ有罪判決を受けていませんので、前科とはなりません。
また不起訴になった場合にも、有罪判決を受けていませんので、前科とはなりません。
これに対し、いわゆる罰金を科される「略式起訴」の場合には、罰金の刑罰の一種ですので、前科がつくことになります。
2 前科がつくと失職する?
公務員であっても、前科がついたからといって即失職するわけではありません。
どのような刑罰が科されたのかによって異なります。
例えば、国家公務員法第38条1号は、「『禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者』は、官職に就く能力を有しない」と定めています。
つまり、禁固以上の刑に処せられると、公務員となる資格を有しないことになりますので、失職することになります。
3 禁錮以上の刑とは
では、「禁錮以上の刑」とは何でしょうか。
禁錮以上の刑罰に該当するのは、禁錮刑、懲役刑、死刑を指します。
罰金は禁錮以上の刑には該当しません。
禁錮以上の刑に処せられなければ、絶対に失職しないというわけではないことに注意が必要です。
国家公務員の場合、国家公務員法第82条1項3号において、「『国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合』には、当該職員に対し、懲戒処分として、免職、停職、減給または戒告の処分をすることができる。」と定められています。
もし犯罪行為を行い、禁錮以上の刑には処せられなかったものの、犯罪の性質が悪質であるなどとして、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行と判断された場合、一番重い懲戒処分が下されてしまうと、免職させられてしまいます。
そのため、禁錮以上の刑に処せられなかったとしても、失職する場合がないわけではありません。
4 期間
例えば、国家公務員の場合、上記3のとおり、国家公務員法において「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」と定められています。
そのため、執行猶予付きの判決の場合には、執行猶予期間が満了するまで、実刑判決の場合には、刑の執行が終了するまで、資格を失うこととなります。
しかし、期間が経過したから復職できるかと言えば、難しいと言わざるを得ません。
確かに、公務員試験を受けることはできますので、公務員としての資格を回復することはできるかもしれません。
しかし、実際には、犯罪行為により失職した履歴が残っていれば、公務員として採用される可能性は著しく低いと言えるでしょう。