高次脳機能障害の画像所見について|四日市で『交通事故』に強い弁護士

交通事故被害相談@四日市

高次脳機能障害の画像所見について

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2022年10月14日

1 はじめに

高次脳機能障害は、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害等をもたらすものです。

症状の内容や程度には、個人差があり、わかりにくいこともしばしばです。

受傷者に近い方々は、事故前と比べて、変わったところ・おかしなところがないかをチェックし、主治医に報告の上、必要な検査を受けることが求められます。

ところで、脳損傷をもたらすような外力は、頭部をどこかで打ったことによる受傷機転の直線的加速(減速)と、強く頭部が回転した場合に加わる角加速度に大別されます。

直線的加速(減速)の場合、脳挫傷をもたらすことが多いと報告されています。

角加速度の場合、回転性の外力が加わることによって脳に剪断力が働き、神経軸索を断裂させることによって広範囲の脳損傷(びまん性軸索損傷)をもたらすことが報告されています。

2 高次脳機能障害における画像所見の位置づけ

高次脳機能障害の診断・認定には、脳の画像所見が非常に重要視されます。

頭部外傷を前提とした脳に関する異常所見が無ければ、高次脳機能障害と診断・認定されることはまずなく、加齢による認知症や性格的問題、精神疾患とされてしまう可能性があります。

これを覆す、すなわち画像所見なしで高次脳機能障害の認定を受けるのは、至難の業です。

3 画像検査によって検出される頭部(脳)の傷病

頭部CTでは、骨折や血種を確認することができます。

具体的には、頭がい骨骨折(頭蓋骨陥没骨折、頭蓋底骨折)や局所脳損傷(急性硬膜下血腫、脳挫傷等)は、CTによって発見・診断されることが一般的です。

びまん性軸索損傷(※ 角加速度の外力によってしょうじるびまん性の脳損傷)は、CTでは特徴的な所見が示されないことから、MRIで診断されます。

具体的には、頭部MRIによって、大脳深部等に多発性の微小損傷を確認されれば、通常、びまん性軸索損傷と診断されます。

4 画像検査の時期

事故発生から日が経てば経つほど、事故との関連性が認められにくくなることから、CT・MRIともに早い段階で実施されることが重要です。

脳内の出血は、通常、時間経過によって減少します。

また、数カ月の経過を経て、脳室が拡大することが報告されています。

そのため、事故当初だけでなく、定期的に画像検査を受け、脳損傷の実態を客観的に記録しておくことが重要です。

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