うつ病と交通事故の因果関係|四日市で『交通事故』に強い弁護士

交通事故被害相談@四日市

うつ病と交通事故の因果関係

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2024年3月5日

1 交通事故が原因でうつ病となる場合がある

うつ病になると、憂鬱、気分が重い、疲れやすい、自分には価値がないと感じる、悪いことをしたように感じて自分を責める、死にたくなる、思考力や集中力が減退する等の様々な症状が生じ得ます。

中には、交通事故が原因でうつ病となってしまうこともあり、その場合は、うつ病になったために被った損害について、交通事故の加害者から賠償を受けられる可能性があります。

2 うつ病との因果関係について

もっとも、交通事故の後にうつ病になったとしても、必ずしも賠償を受けられるわけではありません。

交通事故後に生じたうつ病について賠償を受けるためには、交通事故とうつ病との間に相当因果関係があることが必要です。

相当因果関係は、簡単に言うと「社会通念に照らして、交通事故が原因でうつ病が発生したといえる関係」のことです。

そして、交通事故とうつ病の相当因果関係の有無を判断するにあたっては、実務上では以下のような要素が考慮される傾向にあります。

3 因果関係の判断要素

⑴ 事故態様・受傷内容

裁判例には、事故の態様や衝撃の程度、受傷内容から、交通事故が被害者の方の精神状態に与えた影響を検討しているものが多く見られます。

交通事故によるうつ病は、必ずしも大きな事故に限って生じるというわけではありませんが、裁判例に目を通すと、大きな事故だと交通事故とうつ病の相当因果関係が認められやすく、小さな事故だと認められにくい傾向が見られます。

⑵ 症状の発症時期・精神科や心療内科への受診時期

交通事故からそれほど時間を置かずにうつ病の症状が発症していることや、精神科や心療内科に行って専門医の診察を受けているという事情があると、交通事故とうつ病の相当因果関係が認められやすい傾向にあります。

逆に、うつ病の発症時期や病院への受診時期が交通事故に遭った日から空いていると、うつ病になったことについて交通事故の影響は小さいと判断されやすく、相当因果関係が認められにくい傾向にあります。

⑶ 既往症の有無・事故以外の要因の有無

交通事故以前から精神疾患を抱えていた場合や、交通事故の他にうつ病の原因となり得る事情があった場合、そのような事情は交通事故とうつ病の相当因果関係を否定する方向の要素となります。

とはいえ、これらの要素があると必ず相当因果関係が否定されてしまうというわけではありません。

例えば、「事故以前に生じていた精神疾患は事故当時には回復していた」という事情があったり、「事故以外にもうつ病の原因となり得る要素はあるものの、その要素が与える影響は限定的なものである」といったケースでは、交通事故とうつ病の相当因果関係が認められることもあります。

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