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弁護士法人心 四日市法律事務所

自己破産と退職金

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年2月10日

1 自己破産により退職金を失う可能性があります

自己破産をした場合、破産者が持つ財産は、借金の返済に充てなければなりません。

そのため、たとえば、退職金を300万円受け取って、すぐに自己破産をした場合、その300万円は、借金の返済のために使われます。

自己破産に関連して退職金についてのご相談を弁護士にいただくことが多いため、こちらで場合を分けてご説明いたします。

2 自己破産後に退職金が支払われる予定の場合

近いうちに退職し、退職金をもらう予定の場合には、退職金の大部分を残すことができます。

具体的には、退職金のうち4分の3については、借金の返済に充てる必要がありません。

なぜ、退職金がこのような特別な扱いを受けるのでしょうか。

その理由は、退職金は、給与に近い存在であり、今後の生活をしていくために必要なものと考えられているためです。

3 退職の予定がなく、しばらくは退職金の支払いがない場合

たとえば、40歳の方が自己破産を検討しているものの、会社を辞める予定はないという場合、定年まで20年以上あることになります。

このように、いつ、どれくらい退職金がもらえるかは、はっきりと分からないケースでは、自己破産をする際、退職金はどのように扱われるのでしょうか。

退職金をしばらく受け取る予定がない場合は、「今、退職したら支給されるであろう退職金」を、破産者の財産と考え、借金の返済に充てるべきと考えられています。

しかし、実際には、退職金は支給されないため、「支給されていない財産から借金を返済しろ」というのも、やや不条理です。

そこで、自己破産の手続きの中では、「今、退職したら支給されるであろう退職金」の8分の1を、破産者の財産と考えます。

たとえば、退職したら支給される予定の退職金が240万円の場合、30万円については、破産者の財産だと考え、借金の返済に充てられることになります。

4 退職金の資料集め

自己破産と退職金は切っても切れない関係にあります。

「今、退職したら支給されるであろう退職金」の金額を出す必要があるため、自己破産を検討している方は、会社の退職金規定を調べる必要があります。

勤務先に自己破産することを知られたくない場合、会社に退職金のことを質問する際には慎重な対応が必要になります。

たとえば、退職金の規定は、住宅ローンの審査のためにも使われることがあるため、「家を買おうと思っている」といったことを、会社に伝え、退職金の規定を見せてもらうとよいかもしれません。

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