自己破産の免責とはなんですか?
1 免責の意義・目的・理念
自己破産における免責とは、破産手続きにおける配当によって弁済が得られなかった債権について、債務者を、当該債務を弁済すべき責任から免れさせることです。
簡潔に言うと、それまでの借金を支払わなくてもよくなることです。
このように、免責は、債権者による追求から債務者を開放することを目的とした制度と考えられます。
免責の理念については、破産手続きにおける債権者の利益実現のために誠実に協力した債務者に対して、その特権として免責を与えるという「特権説」と、破産手続きにおける債務者に不誠実な行為がないことを前提に、経済的更生・再生のために免責を与えるという「破産者更生説」に二分されています。
破産実務では、「特権説」をベースに「破産者更生説」的な考慮をしているという評価もあります。
2 免責に至る流れ
個人である債務者が破産申立てをした場合、同時に、免責許可の申立てをしたとみなされます(破産法248条4項)。
いわゆる「みなし申立て」です。
免責許可の申立てを行う場合は、債権者名簿を提出する必要があります。
通常は、申立てと同時に提出します。
租税債権者と労働債権者は非免責債権なので、名簿からは除外しなければなりません。
債務者が、一部債権者について知りながら名簿に載せなかった場合は、虚偽の名簿を提出したとして、免責不許可事由(破産法252条1項7号)にあたる可能性もあるので、要注意です。
破産申立て(免責許可申立て)を受けて、裁判所は、免責にあたるか否かについて、調査を行います。
管財事件の場合は、破産管財人に調査をさせることができます。
裁判所は、破産手続開始決定以降、債権者名簿にある債権者に対し、相当期間を定めて、意見申述を求めることになります。
この意見申述は、裁判所が免責不許可事由にあたる事情がないか等を調査するために行われるもので、一定数の債権者の同意が必要である等の定めはありません。
たとえすべての債権者が免責すべきでないと意見しても、免責不許可事由にあたる具体的事情がなければ、裁判所は免責許可の決定をすることができます。
以上の経過を踏まえて、破産法252条は、1項各号に規定する免責不許可事由に該当しない場合は、免責許可の決定をすると定めています。
もっとも、免責不許可事由があっても、破産開始決定に至った経緯や一切の事情を考慮して、免責許可の決定をすることができます(破産法252条2項)。
これが「裁量免責」と呼ばれるものです。
自己破産の手続きにはどのくらいの期間がかかりますか? 自己破産は2回目でもできますか?