自己破産は2回目でもできますか?
1 はじめに
結論からいうと、2回目でも自己破産できる場合とできない場合とがあります。
自己破産できる場合でも、1回目に比べて審査が厳しくなることが予想されます。
以下で詳述します。
2 1回目の自己破産からの時間経過
1回目の自己破産(免責許可決定)から7年以内に自己破産の申し立てをすることは、免責不許可事由と規定されています(破産法252条1項10号イ)。
自己破産の免責や免責不許可事由について、こちらでも述べていますのでご覧ください。
2回目の自己破産は、裁量免責(破産法252条2項)の余地がないとはいえず、認められる可能性は1回目と比べて少ないといえます。
しかし、厳格な審査の上、免責が認められることも多くあります。
なお、旧法では、制限期間は10年とされていましたが、破産者の経済的更生・再生とモラル・ハザードとの調和を考慮して、7年に短縮されました。
3 審査の厳格化
破産申立てを行う際、裁判所に提出する書類の中に、再び破産しないためにどうしていくのかを述べるものがあります。
2回目の自己破産ということは、前回提出した上記書類に記載した事項を遵守できなかったと評価されることになります。
言い換えれば、裁判所との約束を破ってしまったということです。
となると、裁判所としては、前回以上に厳しく審査しないと効果がないと考え、通常では同時廃止となる事件がより複雑な管財事件とされる可能性が高くなります。
管財事件の場合は、別途管財費用(※裁判所にもよりますが、30万円程度は想定しておいた方がよいです。)が必要なほか、申立てに必要な書類も増えますので、注意する必要があります。
4 2回目でも同時廃止になることが多い事例
1つは、前回の自己破産から数十年経過している場合です。
前回から10年も経たないうちにまた破産することと比べれば、まだ良い方だといえることに加え、破産者が高齢で定年退職して無職者となっていることがほとんどであることから、管財事件にしても配当できる資産がないことがその理由と考えられます。
もう1つは、破産者が生活保護を受給している場合です。
いくら厳しく審査したところで配当できる資産が顕出されることはなく、債権者側が強制執行しても徒労に終わってしまうというのがその理由と考えられます。
5 2回目の自己破産は弁護士へご相談ください
2回目の自己破産が認められるかどうかは、非常に専門的な判断を要します。
また、弁護士ごとに判断や見通しが分かれることも珍しくありません。
そのため、何人かの弁護士に相談した上で、方針を決めるのも一つの方法だと思われます。
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