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弁護士法人心 四日市法律事務所

通勤中・業務中の交通事故で会社から労災使用を拒否された場合

  • 文責:代表 弁護士 西尾有司
  • 最終更新日:2023年6月19日

1 労災隠し

交通事故の治療費等は、相手方の対人保険や当方の人身傷害保険にて対応してくれるのが一般的ですが、相手方が無保険であったり、こちらに人身傷害保険が付保されていなかったりして、労災を使わざるを得ない場合があります。

付保されていたとしても、後遺障害が残る見込みなので、特別給付金を得るために労災申請をするということもあります。

しかし、通勤中・業務中の交通事故で負傷し、治療費の支払い等に労災を使用したいと会社に連絡したところ、雇用主から、相手方に支払ってもらえばいいとか、自動車保険(対人保険・人身傷害保険等)で対応したらいいとか言われて、労災使用を渋られることがあります。

このように、雇用主が労災使用に応じなかったり、応じることを渋ったりすることは、労災隠しと言われています。

労災保険を使用することによって、労働基準監督署から目を付けられたくないためと考えられます。

過剰勤務や社員の健康管理が問題となるような場合を除き、交通事故において、雇用主の安全配慮義務違反等が問題となり労働基準監督署から目をつけられるようなケースは少ないと言えます。

被追突のような完全な被害事故であれば、なおさらです。

しかし、理を尽くして説明しても、応じてくれない場合があります。

そのような場合はどうすべきでしょうか。

2 雇用主の協力義務

労働者災害補償保険法施行規則23条1項は「保険給付を受けるべき者が、事故のため、みずから保険給付の請求その他の手続を行うことが困難である場合には、事業主は、その手続を行うことができるように助力しなければならない」と規定し、同条2項では「事業主は、保険給付を受けるべき者から保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、すみやかに証明をしなければならない」と規定しています。

そのため、これらの法令をあげて、翻意を求めることが考えられます。

3 労働者の単独申請

労災の給付申請書に事業所名や事業者番号を記載する欄はありますが、管轄の労働基準監督署に事情を説明すれば、雇用主が協力しなくても、労災申請を受理してくれます。

労災への申請は代理人弁護士でも可能です。

ご自身だけで手続することについてご不安がある方は、一度相談されることをお勧めします。

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