入院付添費
1 ご家族が入院された方へ
交通事故の被害に遭われて入院された場合、ご家族が付き添われることも多いかと思います。
ご家族が被害者の入院に付き添った場合、入院中に付添いの必要性があり、かつ、実際に付添いがされた場合には、相当な限度で、付添いの費用が事故と相当因果関係のある損害として認められます。
本来、仕事や家事を休んで付き添われているのは被害者ではなくご家族なのですが、実務では、この付添費は、ご家族ではなく被害者の損害として請求しています。
2 付添いの必要性
入院付添費は、被害者の入院に付き添えば必ず認められるわけではなく、付添の必要性があることが要件となります。
損害賠償額算定基準(いわゆる赤い本)によれば、付添いの必要性は、「医師の指示または受傷の程度、被害者の年齢等」により判断されます。
付添いの必要性は、医師の指示があれば原則として認められます。
一方、医師の指示がない場合には、受傷の部位、程度、被害者の年齢等を考慮して、付添いの必要性が判断されます。
裁判例の傾向としては、重篤な脳損傷や脊髄損傷の場合や、上肢・下肢を骨折し、被害者の行動が制約されている場合に、介助のための付添いの必要性を認めることがあります。
また、被害者が幼児・児童の場合、両親による付添いの必要性を認める傾向にあります。
自賠責保険の取り扱いでは、原則として12歳以下の子供に近親者等が付き添った場合に、入院中の看護料として1日につき4200円(令和2年3月31日までに発生した事故については4100円)が認められています。
以上は、あくまでも裁判例の傾向であり、個別の事案ごとに、詳細な検討が必要になります。
交通事故で入院され、ご家族に付き添われた方は、一度、弁護士にご相談ください。
3 入院付添費の金額
損害賠償額算定基準(赤い本)では、近親者付添人につき、1日につき6500円が被害者本人の損害と認められる、とされています。
また、被害者の状態が極めて重篤な場合や、被害者が年少である場合など、長時間の付添いや負担の重い濃密な介護が必要となった場合には、基準額よりも1割から3割の範囲で増額されることがあります。