債務整理の種類
1 債務整理は大きく分けて4種類
⑴ 借入をしたとしても,必ずしも予定通り借金の返済ができるわけではありません。
収入が減ったり,家計を一緒に支えていた人が働けなくなったりなど,様々な要因で,借金の返済が難しくなる場合があります。
⑵ そんな場合に,経済的に再出発をするための制度が,債務整理です。
債務整理は,その目的などに応じて,大きく4種類ありますので,このページで詳しくご説明いたします。
2 分割払いと将来の利息カットを目的にする任意整理
⑴ 任意整理の目的
任意整理は,各債権者と個別に話し合いをして,借金の返済方法を協議する手続きです。
今ある借金を,3年から5年の分割払いにすることや,将来の利息をカットすることについて,各債権者と交渉を行います。
⑵ 任意整理の特徴
任意整理は,裁判所が関与しない債務整理の方法です。
そのため,全債権者を相手に交渉をする必要はなく,任意整理をしたい債権者だけを対象に交渉を行うことができます。
たとえば,自動車のローンが残っている場合に債務整理を行えば,自動車を引き揚げられてしまう可能性があります。
そういった場合,自動車のローン会社は,これまで通りに借金を返済し,他の債権者とだけ任意整理を行えば,自動車を手元に残したまま,借金の負担を軽くすることができます。
3 借金の減額と分割払いを目的に行う個人再生
⑴ 個人再生の目的
個人再生は,借金を減額した上で,分割払いにするための手続きです。
任意整理では,借金の減額は困難ですが,個人再生は借金を5分の1程度まで減額できる可能性があり,毎月の返済の負担を軽くすることができます。
⑵ 個人再生の特徴
個人再生をしても,住宅ローンを引き続き返済できるのであれば,住宅を手放す必要がありません。
仮に,自己破産をすれば,自宅を売却し,借金の返済に充てなければなりません。
また,個人再生は,各債権者と個別に交渉するのではなく,裁判所を通して,全債権者と協議しなければなりません。
そのため,任意整理のように,一部の債権者とのみ,交渉することができません。
4 借金をゼロにすることを目的とする自己破産
⑴ 自己破産は,借金をゼロにするための制度です
自己破産をすれば,手元にある財産を原則として全て処分し,借金の支払いに充てる代わりに,返済しきれなかった借金の支払義務が免除されます。
⑵ 自己破産の特徴
自己破産の最大の特徴は,借金の支払義務がなくなることです。
もっとも,税金等,一定の債務は支払義務が残りますので,注意が必要です。
また,任意整理と異なり,裁判所を通して,全債権者に通知しなければならないため,各債権者と個別に交渉することはできません。
5 簡易裁判所で行う特定調停
⑴ 特定調停の目的
特定調停は,任意整理で行うことを,簡易裁判所を通して行うというイメージの手続きです。
任意整理と同じく,借金の分割払いなどを協議します。
⑵ 個人再生の特徴
裁判所が関与するため,任意整理より時間がかかります。
任意整理と同じようなことをするにもかかわらず,時間がかかることから,あまり利用されていません。